フランス革命が熱い
革命のライオン(小説フランス革命1)(佐藤 賢一)
フランス革命―歴史における劇薬(遅塚 忠躬)
佐藤賢一が西洋史に戻ってきた!氏の作品は文庫になったものはおそらくすべて読みましたが、最近は西洋史から離れて日本史とかアメリカの近未来とか書いていて、まだ文庫になっていないから読んでいないのですがどうもあまり期待できなさそうで、やっぱりヨーロッパ史を書かなきゃダメだよ、などと思っていたのですが大作にとりかかったようです。
構想20年だそうですが、あれ?佐藤賢一って学生のころ(およそ20年前)から「三銃士」が好きで、だから「二人にガスコン」を書いたんじゃなかった?ファンサイトのインタビューにそう書いてあったような・・・、と思って探したらファンサイトなくなってるし。・・・確かそうだったはず。
まあ構想◯年はともかくフランスの歴史を舞台に書く人なら書きたくなるんでしょう。今や日本の西洋歴史小説の第一人者ですし、佐藤氏をさしおいて書ける人はいないと思いますし。全10巻。1、2巻は同時発売で2009年3月以降半年に1巻ずつ出して、2012年9月に10巻になる予定みたいです。
とりあえず1巻を読んだ。2巻は年明けか。
1巻はミラボーとロベスピエール。ミラボーは名前しか知らん。ロベスピエールは革命後の悪逆非道の独裁者というイメージしかないが、意外にも今のところ線の細く弱々しい正義漢。まだまだこれからですが、
弟子を育てておくことも、また欠かせない仕事なのかもしれないなと。全てを見せ、全てを教え、全てを受け継がせることで、全てを肩代わりできるような弟子を今から育てることこそ、あるいは最大の仕事なのかもしれないなと。
かたわらに立つ小男の痩せた肩に、ミラボーはその大きな手を乗せた。なあ、ロベスピエール君、いずれにせよ、これからが本当の闘いだぞ。
―革命のライオン 184ページ
そのロベスピエールがどう歪んでくるのかなぁ、と思っていたのですがフランス革命―歴史における劇薬(遅塚 忠躬)を読むと、むしろ真っすぐに理想を追ったのか。フランス革命を押し進めた人々の理想に対する思いに、新書ながら泣けてくる感じすらしました。
どんなに悪い事例とされていることでも、それがはじめられたそもそもの動機は、善意によったものであった。
―ユリウス・カエサル
確かに革命の過程で起きた惨事は弁解のない「悪い事例」ではあるけれど、この言葉で片付けられないものがあります。