πの歴史(ペートル・ベックマン)感想

 本書の頭に"おっ"とつけるのと情緒が幼稚園児並みと思われるから、ダメなんだからね!


 さて、読む人が減ったところで始めますか。読者を選ぶブログです。改めまして、こんにちは。


 この本は題名の通り数学の話がメインだけど、隠れたメニューとして著者の歴史観がある。ナチスドイツ、旧ソ連はもちろん、古代ローマだって大嫌いだ!本屋さんでパラパラ読んでそこが面白そうだから私は本書を購入したのだ。


 数学の話の前に歴史の部分について書くと、これはひどい。まじめに、やり過ぎ。歴史観を表明して数学の本を書くのはいいけど、批判の仕方が一方的すぎるというか、いくら何でも第2次ポエニ戦争の開戦責任までローマにあるとまで言われると、この人は自分に都合のいいことしか考えないのかと思える。またいくら嫌いでも批判対象についての卑猥な逸話まで披露する必要があるとも思えない。
 共産主義大嫌いだからアメリカについては何も言ってないけど、今だったら散々アメリカの悪口を言っていると想像してしまう。私こういう人、嫌いです。なんかね、アメリカのバカなとこを挙げつらって自分は賢いって面してる人は嫌なの。事実バカなんだろうけど、なら賢いあんたがどうにかすりゃいいじゃん、頭いいんだから、て思う。ま、アメリカ云々は私の想像だし、本筋から外れるからもうやめましょう。
 宗教にも異常に厳しい。
 図24はキャプションでまで批判していてちょっと面白かった。
 

 数学の話。これは面白かった。どこがって挙げるのは難しいんだけど。
 ・188ページのスネルの話。アルキメデスの多角形近似では内接と外接があまりにもかけ離れているから、上限下限値が必要以上に離れている、というのは初耳。そうだったんですか。
 ・パスカルの天才ぶりとか、オイラーはすごいね、とか、πの超越性の証明の超おおまかな説明とか。著者がガウスよりオイラーが好きなことがよくわかった。
 ・計算が異常に得意な人は現代にもいるんだけど、サヴァン症候群とかいう障害の一種でもあるんじゃなかったっけ。計算の専門家というか、電子計算機ができる前は大量に人を雇って科学技術計算とかやってたらしいくて、だから"computer"の"er"は"compute"する人、てことだったと思う。ググっても出なかったけど、私の電子辞書(リーダーズ英和辞典)には"computer"の項目に"計算者"って意味もあるんだぜ。トリビアになった?
 ・数学師の話ではアラビア数字以外で計算する苦労がよくわからない。それは本書でも同じかな。やってみればいいってことなんだけど。
 ・最後についてるπの数表は眺める以外用途がない。今ならネットでπの値を100万桁くらいとってきていろいろ遊べるから、今や無用って感じ。時代を感じますな。 

 
 とりあえず思いつくことを書いてみた。数学の部分と読み物の部分のバランスが良くて読みやすかったです。なんかイイ加減になってきたけど、それがこのブログのくおりてぃ。